IRT(項目反応理論)
読み: あいあーるていー別名: Item Response Theory、項目反応理論、項目応答理論
受験者の能力と問題の難しさを同じものさしで推定するテスト理論です。従来の素点による採点との違いと、導入に必要な条件を解説します。
IRT(項目反応理論)は、受験者の能力と、問題ごとの難しさなどの性質を、同じものさしの上で推定するテスト理論です。 大規模な語学試験や資格試験などで使われています。
従来の採点との違い
一般的な試験は、正解した問題の配点を足した素点で評価します。 この考え方は古典的テスト理論と呼ばれ、設問別統計の正答率や識別度も、 この考え方にもとづく指標です。
素点には、どの問題を解いたかで点数の意味が変わるという弱点があります。 易しい回の60点と、難しい回の60点は、同じ実力を示しません。
IRTでは、問題ごとの性質(難しさや、実力の差を見分ける力)をあらかじめ推定しておき、 受験者が「どの問題に正解し、どれを間違えたか」から能力を推定します。 解いた問題の組み合わせが違っても、同じものさしで結果を比べられるのが特徴です。
IRTでできること
- 違う問題を解いた人どうしを比べる — 回ごと・受験者ごとに問題が違っても、能力を比べられます
- 回をまたいで水準をそろえる — 得点の等化の土台になります
- 解答に応じて出題を変える — CAT(適応型テスト)は、IRTを前提にするのが一般的です
導入に必要な条件
IRTは強力ですが、どの試験にも向くわけではありません。
多くの受験データが要る 問題ごとの性質を推定するには、多くの受験者の解答データが必要です。 受験者が少ない試験では、推定が安定しません。
専門家の関与が要る モデルの選び方、前提が成り立つかの確認、問題の性質の推定と見直しには、 テスト理論の専門知識が必要です。
受験者への説明が難しい 「正解の数が同じでも結果が違う」ことが起こりうるため、 結果の説明に工夫が要ります。
社内試験や中小規模の検定では、素点と設問別統計による運用で十分なことが多くあります。
